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1.海洋深層水の概要
海洋深層水(deep ocean water :DOWあるいはdeep seawater:DSW)の定義は一様ではない。広辞苑では「海の深いところ。 普通は、海面から200m以上の深い所。日光がほとんど入射せず、従って植物の光合成は行われないので、深海に棲む動物の栄養は、表層からもたらされる生物叉はその遺骸に頼っている」と説明せれている。つまり、海を深さによって浅層と深層の二つに分ける場合の境界線が200mで、深層にある海水を「海洋深層水」と呼んでいる。 一方、海洋学では、200m以浅を表層水、200m以深の海水を中層水と深層水の二つに区分し、1000m以浅を中層水、1000m以深を深層水と呼んでいる。また中層水については単に深さだけではなく、陸棚外縁部が概ね水深200~300mにあるところから、陸棚外縁部以深を中層水とよんでいる。外洋においては水深200mより深くなると太陽光線のほとんどが海水に吸収され、弱いブルーライトの世界になり、1000mを超すと暗黒の世界と言われている。
また、海洋土木系や沿岸環境系の分野では、大阪湾や瀬戸内海などの水深100m前後の深さにある海水を深層水と称する場合もある。
2.海洋深層水は動いている
海洋表層水は海上風によって鉛直によくかき混ぜられ混合層を形成する。 混合層の水温は海に入射した太陽放熱、海面から大気への潜熱と顕熱、並びに混合層以深との熱交換の収支で決まる。混合層の塩分は海面での降水量と蒸発量、混合層以深との塩分の交換により決まる。大気と直接接触する混合層水は多量の大気物質(酸素や二酸化炭素)を含んでいる。
海水はその沈み込む深さにより表層水、中層水、深層水とに区分される。表層水は主水温躍層と呼ばれ急激な水温の遷移層(表層と中層の境界)より深く沈み込むことは出来ず、それ以浅に止まる海水で、主に風力によって循環する(風成循環)。深層水は高緯度域において弱い躍層を突き切って数千m深まで沈み、主に密度の空間的相(主に南北差)によって全球海洋循環する(熱塩循環)である。代表的な深層水循環は北大西洋のグリーンランド沖で冷やされた海水が深層へ潜り込み、南極を回り北太平洋で浮上する。この深層水の循環はグリーンランド沖から潜って北太平洋で浮き上がるまでに2300年を要すると言う超長期の大旅行であると言う。 北太平洋で浮上した深層水は今度は表層水となりインド洋を通り再び大西洋のグリーンランド沖で潜り込む。その間、南極のウエッデル海で潜り込みインド洋で浮上した深層水は表層を流れインド洋上で北太平洋で浮上した流れと合流し再び南大西洋上でグリーンランド沖行きとウエッデル海行きに分かれる。
中層水は水温躍層以深にまで沈み込むが、深層水ほどには下層に沈み込まず表層水と深層水の中間(およそ1000m)に存在する海水である。
3.日本列島周辺の海洋深層水
日本列島周辺の中深層には、北大西洋北部グリーンランド深層水(仮称;北太平洋深層水)に加えて、それとは起源の異なる水塊が存在する。西部北太平洋にはおよそ1,500m以深に北太平洋深層水が存在する。その上部にはオホーツク海とベーリング海から潜った中層水がある。この中層水はオホーツク海から千島列島の間を通り抜けて北太平洋に入り込んだ海水と北太平洋西部亜寒帯水と混合して北太平洋中層水となる。 北太平洋中層水は更に潜り込みつつ南西方向へ流れ、東経130度、北緯20度、水深2,000m付近で反転して北上する。この北太平洋中層水の一部は四国陸棚斜面に遮られ、湧昇している。
この湧昇水を取水しているのが室戸海洋深層水である。室戸海洋深層水はこの湧昇水を水深300~400mで汲み上げている。
4.海洋深層水の性質と資源価値
深層水の起源は表層水である。表層水が冬の寒さで冷やされて重くなって200mより深く沈んだものが深層水である。沈んだ直後は冷たい表層水であるが、光が十分に射し込まないために光合成による有機物生産が進まず、水中にある有機物はもっぱら分解していく。その結果、有機物の分解産物である栄養塩類が深層水中に溜まっていく。
海の深層では、急激な温度変化がないため、①低温安定で有機物が生産されないために餌が無く従って生物はほとんど生息できない。②清浄性が高く、有機物の分解産物である栄養塩類が溜まった結果、③富栄養と言う性質を深層水は持っている。
海水は32psu(千分率)程度の塩分の場合、-1.8℃で氷結する。従って海水の最低温度は-1.8℃であるはずである。しかし、実際に氷結温度になっているのは極地の深層水で、北太平洋の海底付近では水温は1℃以上に上がっている。北太平洋では海底から1000m付近までの水温はせいぜい5℃であるが、それ以浅では、浅くなるにつれ水温は速やかに上昇する。
5-1海洋深層水の利用「脱塩水」
平成元(1989)年、日本で初めて「高知県海洋深層水研究所」で海洋深層水の本格的な取水が開始されてから18年が経過する。この間、北は北海道、南は沖縄と全国各地で深層水が取水されるようになり多くの産業分野での利用が活発に行われるようになった。
深層水は、陸上由来の化学物質や細菌の汚染が極めて少なく清浄で、太陽光線の届かない深海に存在するため光合成に伴う生物活動もなく、年齢的に古い状態の海水で、年間を通じてそれらの特徴が安定しており、変化しないなどの理由で、新たな産業用資源として注目されている。
海水から淡水を作る方法には、逆浸透法(RO)、冷凍法、蒸発法などがあるが。 現在では、逆浸透膜の開発が進み、逆浸透法が、最も省エネルギーで経済的、常温運転のため運転維持管理も容易であり、深層水の淡水化には多く採用されている。
海洋深層水は沿沿岸表層水に比べて清浄であり、浮遊物質、懸濁物質が少ないことも特徴の一つである。この特徴が思わぬ効果をもたらしている。その一つは、海水装置で、逆浸透膜が実用的に使用可能であることである。普通の沿岸表層水を用いた場合には、すぐ膜の目詰まりが生じ使えなくなる。これを防ぐ為に沈殿、薬品処理と言う様な前処理を行なう必要がある。前処理には広い用地が必要な上維持管理費も高くつく。このためよほど真水が不足している地域でないとこの逆浸透膜による淡水化は採算が取れないとされていた。一方、海洋深層水の場合は、浄水で前処理の必要がなく、前処理なしで半年連続運転が可能であったと言う。イニシャルコスト及びランニングコストは相当安くなったと考えられる。
二つ目の特注は、陸水を逆浸透膜処理装置で処理すると、純水になるが、海水を逆浸透膜処理装置で処理すると海水成分の一部が若干混入する。 このため浸透海洋深層水を一般に脱塩水と称している。 脱塩処理後の水質の一例を表1に示した。
表1脱塩処理後の脱塩水の一例
項目 \ 試料
|
試料A
|
試料B
|
試料C
|
試料D
|
試料E
|
ナトリウム mg/L
|
34
|
10.8
|
27
|
53
|
14.6
|
カリウム mg/L
|
2
|
0.7
|
1.7
|
2.8
|
0.89
|
カルシウム mg/L
|
1.2
|
1.3
|
1
|
1.9
|
0.34
|
マグネシウム mg/L
|
2.9
|
0.9
|
2.7
|
5.9
|
1.28
|
塩素 mg/L
|
63
|
25.5
|
56
|
101
|
32.9
|
塩素 mg/L
|
63
|
25.5
|
56
|
101
|
32.9
|
(1)脱塩水の利用
平成7(1995)年に民間へ海洋深層水が分水されるようになり、翌年の平成8年には初めて深層
水製品が出、脱塩処理された深層水が飲料水として発売された。
深層水で炊いたご飯は美味しい、煮物に使うと美味しいと言う。海洋深層水及び脱塩水は様々な
効果を持っています。パンに有効、うどんに有効、ビールや日本酒に有効と食品関係だけでなくア
トピーに有効、コレステロールが減少等健康上にも有効と言われる。温泉は様々な病気に効果が有
ることが実証されている。しかし学問的に証明されないものが多いと言う。海洋深層水何が有効な
のか、ある者は、深層水は数百年から1~2千年の長きに渡り高圧、低温、暗所に閉じ込められてい
た。即ち熟成した水である、この熟成が原因だと言う。また、海水には周期律表に含まれる全ての
元素が含まれていると言う。人間を始め全ての動物はその個体に有効な物は美味しく感じ、有害(
又は毒性)なものは不味く感じる。深層水には人間に有効な微量元素が含まれているのかも知れな
い。まだ不明な多くのなぞがある。しかし、民 間企業では深層水を用いた様々の商品開発に取り
組んでいる。
尚、朱雀錦でも脱塩水を使用しています。
(2)ミネラルウオーター
人や動物の体は様々な食物によって維持されている。その中でミネラルの効果は大きく。5大栄
養素の一つに数えられている。5大栄養素とは蛋白質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンンの
ことで、ミネラル自体カロリーを有せず蛋白質やビタミンとともに体の構成成分をつくり、生理作
用をコントロールする重要な役割を果たしています。 ミネラルの主な役割は下記の通りです。
①
歯や骨格を形成する。人体の構造材料としての働き(Ca、P)。
②
血液(Fe)や新陳代謝の調節を行う甲状腺ホルモン(I)の構成要素である。
③
細胞と体液の水分調製等を行う(Na、K)。
人の体を構成している成分は、酸素65%、炭素18%、水素10%、窒素3%の4元素で96%を占め
ている。それにカルシウム1.5%、リン1%を加えた6元素では98%強になり、残された2%弱が
ミネラル(生体微量元素)となる。
現在地球上に103種類の微量元素(ミネラル)が存在することが確認されており、そのなかで、
約70前後のミネラルが体内にあると言われている。 その内人間の成長や生命活動を維持するお
えでどうしても欠かせないミネラルを必須ミネラルと呼び、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)
、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、亜鉛 (Zn),リン(P)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、モリブ
デン(Mo)、セレン(Se)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、リチュウム(Li)、コバルト(Co)、ヴァナジウム
(V)の16元素である。
海水には周期律表に存在する水素からウランまでの全ての元素が存在すると言う。その環境で
育った魚介類や海草類は当然ミネラルが豊富である(表2)。
表2 魚介類可食部のミネラル組成(100g当たり)
|
マイワシ
|
サンマ
|
マダイ
|
ブリ
|
昆布
|
わかめ
|
Na
mg/100g
|
130
|
130
|
55
|
37
|
2,800
|
610
|
K mg/100g
|
310
|
200
|
440
|
310
|
6,100
|
730
|
Ca mg/100g
|
70
|
32
|
11
|
12
|
710
|
100
|
Mg mg/100g
|
34
|
28
|
31
|
28
|
510
|
110
|
P mg/100g
|
230
|
180
|
220
|
200
|
200
|
|
Fe mg/100g
|
1.8
|
1.4
|
0.2
|
0.9
|
3.9
|
0.7
|
Zn μg/100g
|
1,400
|
470
|
270
|
360
|
800
|
300
|
Cu
μg/100g
|
40
|
120
|
93
|
89
|
130
|
|
Mn
μg/100g
|
45
|
17
|
9
|
12
|
250
|
|
Se
μg/100g
|
52
|
47
|
66
|
40
|
|
|
Co
μg/100g
|
5
|
0
|
0
|
0
|
|
|
I
μg/g乾
|
|
|
|
|
2,200
|
120
|
日本人は古くから魚介類や海草等の海産物を多く食していた。ミネラル欠乏症は少なかったと考
えられているが、戦後食生活が大きく変わり、ミネラル欠乏症が増加していると言う。例えば、昔
は、四足動物を食する習慣が無く、動物性蛋白質の殆どが魚介類であったが、最近では50%を割
り、40%まで低下していると言う。
海草はヨウ素を含有するものが多いが、特に昆布類はヨウ素の超集積生物で乾燥昆布1グラム当
り2200μgの高濃度ヨウ素を含有している。日本人は昆布をはじめヨウ素を多く含む海草を食べる
機会が多く、ヨウ素の摂取量は十分と考えがちであるが、食品実態調査を行うと、若者を中心にし
て海草を全く食べない者が意外といるとのことである。このため、一部の日本人にアジアやヨーロ
ッパ内陸部の住民と同じようなヨウ素欠乏症になっていると言う。
食事でミネラルバランスが取れない場合、ミネラルウオーターで補充して、ミネラルバランスを
とるのが最も容易であると言われている。 中でも最も重要なミネラルバランスは、
Na:K = 1:1とCa:Mg = 2:1である。
1) Na:K = 1:1がなぜ重要か
表3人の体内水分中のNa、K、Cl濃度
㎎当量
|
細胞外液
|
細胞内液
(筋細胞)
|
血漿
|
組織間液
|
陽
イオン
|
Na
|
151
|
163.9
|
144
|
152
|
8
|
205
|
K
|
4.3
|
4
|
160
|
その他
|
8.6
|
4
|
37
|
陰
イオン
|
Cl
|
109
|
163.9
|
114
|
152
|
2
|
205
|
その他
|
54.2
|
38
|
203
|
Na/K比
|
35
|
36
|
0.05
|
細胞外液は組織間液(体重の約15%)と血漿(〃5%)、胸腔,腹腔、脳脊髄液、間接腔、消化
管内にある体液(〃2%)に分類されます。細胞外液はナトリウムや塩素が多く、微量のカリウム
とカルシウムを含んでいます。また細胞内液はカリウムとリン酸のイオン濃度が高く、マグネシ
ウム、蛋白質に富んでいます。人の細胞は細胞膜を通して必要な栄養素を細胞外液から取り込み
、老廃物を細胞外液に渡し、肝臓や腎臓へ送って処理した後、体外へ排出します。細胞膜を挟ん
で細胞外液と細胞内液の間の水分の移動は両者の浸透圧の差によって行われます。浸透圧とは水
を引きつける力をいいます。
例えば、食塩を大量に摂った場合、ナトリウム濃度が上昇することにより体液の量が増大して
浮腫を招きます。逆にナトリウム濃度が下がると脱水症状を引き起こします。
通常の食事をした場合、例えばご飯の場合カリウム27mg/100gに対しナトリウムは2mg/100g
とナトリウムが不足します。そのため人間をはじめ全ての動物は食塩の補充が必要となります
(「寿司材・塩」参照)。しかし、食塩の摂りすぎは生活習慣病の原因になると減塩主義が叫ば
れ、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」でも18歳以上の男子で10g/日未満を指導されてい
る。現在では、減塩主義が行き過ぎナトリウムの必要量を摂らないため、酷い場合には脱水症状
等のナトリウム欠乏症状が発生していると言う。
減塩主義は誤りで、Na:K = 1:1のミネラルバランスが重要と力説すつ者がいます(山原
修二氏著)。
2)Ca:Mg = 2:1 なぜ重要か
Ca:P:Mg = 2:2:1の関係にあると言われるが、リンは通常の食生活で十分補えるた
め、CaとMgだけのミネラルバランスが重要視されているが両方とも欠乏しがちなミネラルであ
る。
「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、18~29歳男子650mg/日、女子で600 mg/日、
30~69歳男子で600 mg/日としている。これに対し平成15年国民健康・栄養調査(厚生労働省)
の結果では、国民1人当りの平均カルシウムの摂取量は543±290と食事摂取基準を満たしていな
い。
カルシウムは骨の主要構成要素の一つであり、大部分が骨歯牙組織に存在している。人の体重
の1.5~2%含まれ、その99%が骨でリン酸とともにハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]
として骨を形成している。細胞内には微量(約1%)のカルシウムが存在するが、この微量のカ
ルシウムは細胞の多くの働きや活性化(細胞分裂、増殖、筋肉収縮、内分泌、外分泌、神経細胞
の興奮等)に必須である。この重要なカルシウムも摂取量が多すぎると弊害がある。
乳製品の摂取量が多い欧米人はカルシウムを多く摂取しているにもかかわらず老人が大腿骨を
骨折する割合は日本人より高いと言う。スエーデン人のカルシウム摂取量は日本人の倍異常の
1200mg/日であるが骨折の頻度は日本人の2.5だという。
カルシウムは多過ぎると体外に排出されるが、同時にマグネシウムの一定量も排出されるため、
欧米人の骨にはマグネシウムが少なく折れやすいのではなかろうかと推定されている。
マグネシウムはカルシウムと共に骨を構成する重要な要素であると同時
にATP及び他の分子の
安定化。エネルギー代謝な関与する重要なミネラルである。必須ミネラルの中でも最も欠乏しや
すいものにカルシウムとマグネシウムがありますが、適切はミネラルウオーターを飲みことでミ
ネラルバランスの改善が可能としています(各種文献)。
市販ミネラルウオーターの一例を挙げてみます
|
天海の水
|
天海の水
|
天海の水
|
深層水
|
天然MW
|
天然MW
|
硬度
|
250
|
1000
|
1500
|
700
|
1677
|
1000
|
Na mg/l
|
18.5
|
70
|
111
|
0.6~8
|
2.4
|
0.94
|
Mg mg/l
|
50
|
200
|
3000
|
160
|
13.8
|
7.45
|
Ca mg/l
|
18.8
|
71
|
106.5
|
22
|
45
|
46.8
|
K mg/l
|
17.3
|
69
|
103.5
|
~0.5
|
0.8
|
|
Fe μg/l
|
0.01
|
0.04
|
10.6
|
|
|
|
Zn μg/l
|
0.05
|
0.2
|
6.1
|
|
|
|
Cu μg/l
|
0.05
|
0.2
|
6.4
|
|
|
|
P
μg/l
|
0.1
|
0.4
|
13.7
|
10.4
|
|
|
Se
μg/l
|
0.0015
|
0.006
|
0.7
|
1.6
|
|
|
Mn μg/l
|
0.023
|
0.09
|
0.1
|
|
|
|
Cr ng/l
|
15
|
60
|
45
|
|
|
|
ミリグラム(mg)= 10-3g、 マイクログラム(μg)=
10-6g
ノナグラム( ng)= 10-9g、 ピコグラム(pg) = 10-12g
|
深層水の製造方法は、深層水を逆浸透膜処理装置で処理した脱塩水に、
透過膜で除去して発
生した食塩成分の一部を戻しミネラルを調製したもので
ある。したがつてナチュラルミネラ
ルウオーター(天然MWと略す)と比べ、①微量ミネラル数が多いことと、②目的にあったミネラ
ルウオーターの製造が可能であると言える。
5-2海洋深層水の利用「無処理海洋深層水」
平成7(1995)年に民間へ海洋深層水が分水されると、民間企業は一斉に深層水を用いた商品開
発に取り組んだ。その一例を挙げてみる。
(1)
蒲鉾等ねり製品への利用
蒲鉾等ねり製品に食塩を添加すると粘りが出、良好な製品となるため少量の食塩(数%)を添加
する。この食塩に替え深層水を使用すればコスト低減に繋がるとの発想から実用化されている。
(2) パンの製造
パンの製造工程で食塩を1.2~1.6%使用するが、食塩の代わりに深層水を使用すると、パン生地を
こねる時伸びが良くなり、酵母の発行が促進され、炭酸ガスの発生が多くなり、焼いた時にパンの
体積増加の効果が認められている。
酵母の発育に対する深層水の使用濃度の影響を調べると30%で最も良く生育することが認められ
た。
。
(3) 清酒製造への利用
清酒の製造工程で、深層水の一定量を混入した脱塩水を仕込み水に用い、結果が出ている。即
ち、アルコール濃度が若干(17.4 → 17.9%)してアルコール収率が向上が見られ、清酒にとっ
て雑味成分である、アミノ酸は深層水の添加量に逆比例して減少し、更に吟醸香の酢酸イソアミ
ルは深層水の添加量 に比例して増加する好結果がで、特許を出願したと言う。
(4) ビール製造への利用
通常の井戸を用いて調製したビール麦汁に深層水を添加して発酵試験を行った例。 その結果、
酵母菌数は発酵開始1日目から深層水区が高くそれに伴い主発酵時のBrixの切れ、アルコールの
生成共に良くなった。 また香気成分では酢酸イソアミルが発行中の深層区で高く推移し、最終
製品でもこれ等のエステルは高くなった。このように発酵時に深層水を添加することにより、発
酵初期の酵母増殖やアルコール生成が促進され芳香性の高いビール醸造が可能であることが示さ
れている。
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