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(2)「京都と鱧(ハモ)」 |
京都の三大祭の一つ「祇園祭」は別名「鱧祭」ともいわれます。 丁度夏の祇園祭の頃、鱧の旬の時期にあたり、お客様に鱧を御馳走する習慣がったからです。
京都は海から遠く離れ、近畿地区のほぼ中央にあります。このため、交通機関の発達していなかった昔は、魚の運搬に非常に多くの時間を要し、今日のように冷蔵施設の無かった時代では、生魚を食することは困難でした。 そのため多くの魚介類は塩物や乾物の型で運搬されていました。 ところが例外もありました、それは鱧です。
鱧は非常に生命力の強い魚で、湿度を保てば一昼夜生きることが可能でした。 しかし、鱧の筋肉中に小骨が多く含まれ、繊細な舌を持つ日本人には合わなく、むしろ不美味な魚と評価されていました。 京都の料理人は考えました。 得難い生きた魚、小骨を持った難解な食材、これをどう料理したらよいか、日夜考え続けたものおおもいます。 そしてついに画期的な「鱧の骨切り」という鱧の下処理法を開発したのです。 この下処理法は、鱧の皮一枚だけ残し身を1寸(3.3p)当たり24〜26回(約1.5o)包丁を入れる方法で、一人前になるのに10年かかると言われるほど難しい高度な技術です。
この「鱧の骨切り」により、小骨による不快感は」は解消し、不美味と評価された鱧は、京都で高級魚に変身したのです。
鱧は、鱧寿司をはじめ刺身、揚げ物(天婦羅、フライ)、焼き物(照り焼き)、煮物,酢の物、椀物等多くの料理に食材として使われるが、鱧の特徴を生かした代表的な料理の一つに「鱧の落とし(鱧の湯引き)」がある。 この料理は、骨切りした鱧を」4p程度に切って沸かした湯に入れ、身が開いたところで引き上げ、直ぐ氷を入れた冷水に漬けひやします。 骨切りした鱧身は、高温加熱により白色固化する過程で、薄く切られた身は花が花弁を広げるように開き、白い花に変身します。 その花盛りの真ん中に赤い梅肉を添えると、紅白の日の丸の旗をイメージした見た目にも美しい料理になります。 鱧は、脂肪分多い割にタンパクで上品な味の白身魚で、京料理にぴったり合った食材で関西、特に京都では好まれた。
鱧の大半は関西で消費されますが、特に水槽に入れて生きた状態で入荷する活鱧は、京都だけで約40%消費しており、鱧は正しく京都の魚になっとぃる。 鱧は美味であるだけでなく栄養価の高い魚でもあります。 特にビタミンAは、2000IU(国際単位)と魚類では鰻に次いで多く含まれいます。
鱧の可食部100g当たりの食品成分
成分 |
濃度 |
成分 |
濃度 |
成分 |
濃度 |
ビタミンA |
2000 IU |
水分 |
65.5g |
ナトリュウム |
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ビタミンD |
180 IU |
灰分 |
75r |
カリウム |
390r |
ビタミンB |
0.01r |
カルシュウム |
220r |
蛋白質 |
19.5g |
ビタミンB |
0.1r |
リン |
270r |
資質 |
12.7g |
ビタミンC |
1r未満 |
鉄 |
20r |
コレステロール |
75r |
エネルギー |
202kcal |
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鱧に含まれる脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEAP(エイコサペンタエン酸)等の高度不飽和脂肪酸が27%程度含まれている。
IU ;ビタミンの国際単位
ビタミンA1IU ;ビタミンアセテート0.000344r相当
ビタミンD1IU ;β―カロチン0.006r相当
ビタミン E1IU ;α―トコフェロール1r相当