京都・朱雀錦
(3)「寿司種


マサバ

 サバは、背索動物門脊椎動物亜門条鰭綱スズキ目サバ亜目サバ科のサバ属にに分類される魚の総称です。 日本近海ではマサバ・ゴマサバと類似な魚類でグルクマと・ニジョウサバが見られる。

1.分類
 サバ科 ┬ ウロコマグロ亜科
     └ サバ亜科  ハガツオ族(ハガツオ属・イソマグロ属・他2属)
                                            マグロ族(マグロ属・カツオ属・スマ属・他2属)
                                            サワラ族(サワラ属・ニジョウサバ属・カマスサワラ属)
                                            サバ族 サバ属(マサバ・ゴマサバ・大西洋サバ)
                                                            └グルクマ属(グルクマ)

2.サバ(サバ属)
 サバ属の魚類は、全世界の暖海域に生息するマサバ、太平洋とインド洋に生息するゴマサバ、大西洋北部に生息するニシマサバの3種類である。 体形は紡錘形で背びれは2基あり、第2背びれと尻びれの後方にはそれぞれ5本ずつ小離鰭しょうりきがある。 サバは沿岸の表層に生息する高速遊泳魚で、大きな群れをつくり、季節的な南北回遊をする。 日本近海にはマサバとゴマサバが生息している。 巻き網や定置編などで大量に漁獲されるため、イワシ類やアジ類などと共に大衆魚の1種となっている。
 高速で泳ぎ続けるサバ科魚類は、運動を持続するのに適した血合筋と呼ばれる赤身の筋肉を多く持って居る。 通常の筋肉はアクチンとミオシンと言う蛋白質が主成分となっとり、死後にこの二つの蛋白質が結合したアクトミオシンと言う物質によって死後硬直が起こる。 サバ類の血合筋の中にヒスチジンが多いため、このアクトミオシンは短時間のうちに分解されて、肉が柔らかくなる。 死後間もないにも関わらず、まるで腐ったようになってしまうところから「鯖の生き腐れ」などと言われる。 サバの筋肉中に含まれるヒスチジンは、マアジの約3倍、クロダイの100倍にも及ぶ。 また、体質によっては中毒を起こし易い。 サバを食べるとジンマシンが出来るのもこのヒスタミンが原因である。
(1)マサバ
  マサバの分布は、全世界の亜熱帯、温帯に分布する。 日本近海では、北海道以南の沿岸各地
 に生息し、季節的な南北回遊を行う。 日本近海のマサバ、関東から
三陸沿岸に分布する太平洋
 系群、日本海沿岸に分布する日本海系群、東シナ海周辺
に生息する東シナ海系群の3系郡に分け
 られる。
  全長50㎝に達する。 大群で沿岸、沖合の表層を回遊する。 昼間は水深70150m層に多い
 が、夜間は表層に浮上する。 産卵は春から初夏で、季節の推移
に伴って産卵場所も北上する
 。 産卵海域の水温は
1520度。 孕卵ようらん数は、体長30㎝で3080万粒、40㎝で80140
 万粒。 多回産卵で
10数回に分けて産卵する。 産卵期の成魚は10100m層に多いことから産
 卵場所は沿岸から
20マイル以内の水深50m層周辺域と推定される。 産卵は夜間に行われる。
 産卵
から孵化するまでの時間は、水温15℃で100時間、20℃で50時間、25℃で30時間前後。
  孵化直後の仔魚しぎょは全長3㎜前後。 腹部に楕円形の卵黄を持つ。 
全長4㎜前後で卵黄を
 ほぼ吸収する。 卵黄を吸収した後の仔魚は水深
25m以浅に集中し、甲殻類を始め動物性プラ
 ンクトンを摂食する。 また仔稚魚同士の共
食いも行う。 全長10㎜前後で各ひれの条数は成
 魚とほぼ同数となる。 全長8
㎜を超える頃から沿岸の藻場周辺に出現する。 生後1年で、尾
 叉長びさちょう(吻の
先端から尾鰭両葉の谷間までの距離)2026㎝、2年で2733㎝、3年で、
 28
36㎝、4年で3038㎝、5年で3340㎝に成長する。 生後1~2年で成熟する。 
(2)ゴマサバ
  体の模様がマサバの様に波を打った形ではなく胡麻の様な点斑状であることから付けれた名前
 である。 
  ゴマサバの分布は、太平洋の西部、西南部、東部及びインド洋のオーストラリア西岸で、マサ
 バより、暖水域に多い。 日本近海では本州以南に分布し、東シナ海
や九州西岸に多い。 日本
 近海のゴマサバは、マサバと同様に春から夏に北上して
索餌し、秋から冬は南下して越冬、産卵
 を行う。 
  味はマサバに劣るが、両魚の旬が異なり、旬の外れた)マサバより、旬のゴマサバの方がおい
 しい。
(3)漁獲量と輸入サバ
  日本近海のサバには太平洋側の群と東シナ海から日本海に分布する対馬暖流系群の二系統があ
 る。 太平洋側のマサバは戦後巻網などの漁法で大量に獲られてい
た。 1970年代の漁獲量は
 80
万トンだったが、70年代後半に漁獲量は増加、ピークの78年には147万トンも漁獲された。 
 だが、漁獲量は
80年代以降、急速に減少し、90年代にはわずか2万トンしか獲れなかった。 
 その後、思いがけな
い仔魚の増加現象があり、漁業資源の若干の改善したがその後減少し、現在
 は極め
て低いレベルの漁獲量に留まっている。 水産庁は、これは生まれたばかりの稚魚まで獲
 ってしまったことに原因があると推定している。 
  もう一つの対馬暖流系群のマサバも太平洋系群ほどではないが、同様に乱獲の影響は深刻で、
 1970
年代後半には30万トンあった魚悪霊が1997年以降急減し、最近では9万敦まで落ち込んでい
 る。 この海域では韓国や中国もかなりの量のマサ
バを取っているので資源の管理は一層難し
 い。

  平成8年(1996)7月に国連海洋法条約が発効し、同様に海洋生物資源の保存及び管理に関す
 る法律等関連法も施行された。 これにより我が国の排他的経済水
域の生物資源の寄り安定的な
 持続的な利用を図るため、平成9年1月から特定の魚
種ごとに設定された漁獲可能量(TAC)に
 基く漁獲管理を行うことになった。 マ
サバもこの規定の対象種とされ年間の漁獲量(平成17
 :
42.6万トン)の上弦をきめ、資源の回復を目指すことになった。 だが、太平洋のマサバの場
 合、維持可
能な漁獲量を確保する種には、親魚の量を現在の十倍にする必要があるが、専門家
 話によれば、漁業資源が一度枯渇すると回復が難しく。
90年代後半に自然現象で稚魚が増加した
 あの時点で適切な漁獲制限をしていたならば現在のような劣悪
な漁業資源になっていなかったで
 あろうと悔やまれている。
  日本近海での不漁が続き、それを補うため鯖の輸入が急増してい
 る。 輸入量の
最も多い国はノルウェーで、輸入量の約80%を占め、平成17年は、年間15何ト
 ンの鯖が輸入された。 

  TACによる漁獲制限をおこなっても急速な漁業資源の回復は期待できないようで、当面鯖の輸
 入量は現状通り続くものと思われる。

  ノルウェーから輸入されるサバはニシマサバ(アトランティックマッカレル、タイセイヨウマ
 サバとも呼ばれる)である。 マサバと比べると、大味で、脂っこく
刺身や寿司には向かないが
 、塩鯖にはむいている。
(4)関サバと松輪サバ
  「関サバ」と「松輪まつわサバ」はサバのブランド品と言われている。 普通、サバの漁獲法は
 、巻網か定置編で大量に漁獲される。 この漁法はサバを大量に効率
よく漁獲されるが、多くの
 魚が長時間逃げ回り、その過程で網や魚同士がぶつかっ
たりするため魚が傷ついたりする。 
 これに対し両方とも一本釣り漁法である。 

  「関サバ」は大分県漁業組合佐賀関支店のブランド品。 佐賀関町の漁師が1本釣りで釣り上
 げ、吊り上げ後は生簀に入れ、出荷直前まで生かして鮮度を保った商
品。 「松輪サバ」は神奈
 川県みうら業組合松輪支所のブランド商品。 三浦半島
の南端、三浦市南下浦町松輪の漁師が限
 定した場所で旬の時期に1本釣りで釣り上
げ、手は一切触れずに素早く氷付にして鮮度を保った
 商品。 
 両品とも大衆魚のサバではあるが、料理人の間では高級魚として扱われている。 
(5)食品成分
           サバ類の可食部100g当たりの食品成分

成分

濃度

成分

濃度

成分

濃度

ビタミンA

100 IU

水分

63.57

カリウム

300

ビタミンD

440 IU

灰分

1.1

亜鉛

750μg

ビタミンB1

0.16

カルシュウム

22

120μg

ビタミンB2

1.54

リン

160

蛋白質

19.85

ビタミンC

3

1.5

脂質

16.5

コレステロール

55

ナトリュウム

80

 

 

エネルギー

239kcal

マグネシュウム

24

 

 

  鱧に含まれる脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEAP(エイコサペンタエン酸)の高度不
 飽和脂肪酸が
27%程度含まれている。 
I     U                   ;ビタミンの国際単位
      ビタミンA1IU ;ビタミンアセテート0.000344㎎相当
      ビタミンD1IU ;β―カロチン0.006㎎相当
      ビタミン E1IU             ;α―トコフェロール1㎎相当
(6)ヒスチジン
  塩基性アミノ酸の1種で、必須アミノ酸。 側鎖にイミダゾイル基という複素芳香環を持ち、
 この部分の特殊は性質により酸素の活動や蛋白質分子内でのプロトン
の移動に関与している。
  ヒスチジンの機能には①ヒスチジン脱炭素酵素の作用により、ヒスタミンに変化する。 ②脂
 肪細胞から脂肪の分解を促進する。 ③集中力・記憶力を高める。 ④
抗酸化作用があり、ある
 種の酸化ストレスを抑制する作用がある。 

(7)ヒスタミン
  ヒスタミンは胎内では、主に肥満細胞や好塩基球の中に顆粒状で貯蔵されていて、外部刺激や
 内部刺激により、細胞外に流出する。 交感神経を刺激し、血圧降下、
血管透過性亢進、平滑筋
 収縮、血管拡張、腺分泌促進などの佐用があるが、過剰に
存在するとアレルギー反応が起こる。
 

 





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